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易経 / 象伝

天與水違行,訟;君子以作事謀始。

新字:天与水違行,訟;君子以作事謀始。

書き下し

天と水と違いて行くは訟なり、君子は以て事を作すに始めを謀る。

現代語訳

天と水とがたがいに背いて進む、これが訟の形である。君子はこれにならい、事を始めるにあたって、その最初をよく謀り定める。

解説

訟は上に天、下に水を置きます。天は上へ昇り、水は下へ流れる。同じ場所にありながら向かう先が正反対で、離れていくばかりです。この背き合いから争いが生まれる、というのが訟の形です。象伝は、君子はこれを見て「事を作すに始めを謀る」といいます。争いが起きてから正邪を裁くのではなく、そもそも争いの種が生まれないよう、最初の段取りを慎重に組み立てよ、というのです。争いの多くは、始まりの曖昧さから生まれます。役割、期限、報酬、責任の範囲。着手の前に決めておけば一言で済むことを、後回しにするから後で紛糾します。契約書を交わす、議事録を残す、期待するところをすり合わせる。地味で面倒な手間こそが、将来の大きな争いを防ぎます。もめごとに強い人とは、裁判に勝つ人ではなく、もめない始め方ができる人だ、と訟は教えます。

この一句を、あなたの毎日に。

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