易経 / 象伝
雲雷,屯;君子以經綸。
新字:雲雷,屯;君子以経綸。
書き下し
雲雷は屯なり、君子は以て経綸す。
現代語訳
雲がわき雷が鳴る、これが屯の形である。君子はこれにならい、もつれた糸を整えるように、物事の筋道を立てて治め営む。
解説
屯は下に雷、上に水(雲)を置いた卦で、雲がわき雷が鳴りながら、まだ雨として降りきらない状態を示します。草の芽が固い地面を押し破ろうとする瞬間、つまり物事の産みの苦しみの時です。力はあるのに、まだ形になっていない。だからこそ君子は「経綸」する、と象伝は言います。経も綸ももとは糸を扱う言葉で、もつれた糸を筋道立てて整えることを指します。混沌の時に必要なのは、勢いをさらに増すことではなく、筋を通して並べ直すことなのです。新規事業の立ち上げ、組織の再編、進路の転機。どれも情報も感情も入り乱れ、正解が見えません。そこで焦って手当たり次第に動くと、糸はいっそう絡みます。まず目的を一本立て、優先順位をつけ、順番に手をつける。混乱のさなかで最初にやるべき仕事は整理である、というのが屯の教えです。