易経 / 象伝
天行健,君子以自強不息。
書き下し
天行は健なり、君子は以て自ら彊めて息まず。
現代語訳
天の運行は力強く健やかで、一瞬も休むことがない。君子はこれにならい、自ら努め励んで、途中でやめることがない。
解説
乾は天を象る卦で、陽が六つ重なった純粋な力の形です。天体は昼も夜も休まず、規則正しくめぐり続けます。象伝はそこに「健」の字を当てました。健やかさとは一度の爆発的な力ではなく、途切れずに続く持続そのものだという見方です。だから君子は天にならい、自ら励んでやめないのです。誰かに命じられてではなく「自ら」であること、結果がすぐ出なくても「息まず」であること。この二つがそろって初めて天の健やかさに近づきます。仕事や経営に置き換えるなら、これは才能の話ではなく習慣の話です。大きな決意を一度するより、小さな行動を毎日続けられる仕組みを持つほうが強い。学び直し、記録、顧客への連絡、体調の管理。どれも一日では差がつきませんが、数年たてば決定的な違いになります。昨日の自分より少しだけ前へ動き続けること。それが乾の説く力の正体です。