易経 / 彖伝
“旅小亨”,柔得中乎外,而順乎剛,止而麗乎明,是以“小亨旅貞吉”也。旅之時義大矣哉!
書き下し
「旅(りょ)は小しく亨(とお)る」とは、柔、中を外に得て、剛に順(したが)い、止まりて明に麗(つ)く。是を以て「小しく亨る、旅は貞(てい)にして吉なり」となり。旅の時義、大なるかな。
現代語訳
「旅はわずかに通じる」とは、柔(陰)が外卦において中を得て、剛(陽)に素直に従い、内に止まりつつ外の明るさに寄り添っているからである。だからこそ「わずかに通じる、旅は正しさを守れば吉である」というのである。旅という時の意味は、まことに大きい。
解説
旅は、故郷を離れて他国をさすらう者の姿を表す卦です。彖伝は「小しく亨る」――大きくではなく、わずかに通じる、と控えめに述べます。旅先では地盤も後ろ盾もありません。だからこそ、柔らかな者が外にあって中を得て、剛に素直に従い、内には静かに止まりつつ外の明るさに寄り添う、という身の処し方が説かれます。出過ぎず、卑屈にもならず、その土地の理に従う。旅にあって正しさを守れば吉である、というのがこの卦の結論です。転職、着任、新規事業への参入など、私たちも勝手の分からない場所に身を置くことがあります。そこでいきなり大きな成果を求めるのは無理があります。まずは慎み深く従い、明るい人や仕組みに寄り添って学ぶ。そうして小さく通じることを重ねるのが、旅の時にかなった歩き方です。
この章句が説くこと
旅他郷易経彖伝慎み
関連する章句
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易経・旅卦周易 第五十六卦。艮下離上。易経。旅は、小しく亨る、旅は貞にして吉。初六、旅して瑣瑣(ささ)たり、斯れ其の災を取る所なり。六二、旅して次(やど)に即き、其の資を懐(いだ)き、童僕の貞を得。九三、旅して其の次を焚(や)かれ、其の童僕を喪ふ、貞なれども厲ふし。九四、旅して処(を)り、其の資斧を得るも、我が心快からず。六五、雉を射て一矢亡(うしな)ふも、終に以て誉命あり。上九、鳥其の巣を焚かる、旅人先には笑ひ后には号咷(ごうたう)す。牛を易に喪ふ、凶。彖に曰く、
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易経・旅卦旅して瑣瑣たりとは、志窮まりて災あるなり。童僕の貞を得とは、終に尤无きなり。旅して其の次を焚かるとは、亦以て傷(やぶ)るるなり。旅を以て下に与(くみ)す、其の義喪ふなり。旅して処るとは、未だ位を得ざるなり。其の資斧を得るも、心未だ快からざるなり。終に以て誉命ありとは、上逮(およ)ぶなり。旅を以て上に在るは、其の義焚かるるなり。牛を易に喪ふとは、終に之を聞くこと莫きなり。
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易経・彖伝「遯(とん)は亨る」とは、遯(しりぞ)きて亨るなり。剛位に当りて応じ、時と与(とも)に行くなり。「小しく貞しきに利ろし」とは、浸(ようや)くにして長ずればなり。遯の時義大なるかな。
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易経・彖伝柔、時を以て升(のぼ)る。巽(そん)にして順、剛中にして応ず。是を以て大いに亨(とお)る。「用(もっ)て大人を見る、恤(うれ)うる勿(な)かれ」とは、慶(よろこ)びあるなり。「南征すれば吉」とは、志行わるるなり。
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易経・彖伝隨は、剛来りて柔に下る、動きて説ぶ、隨なり。大いに亨りて貞にして咎无し、而して天下時に隨う、時に隨うの義大なるかな。
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易経・彖伝「小畜」は、柔位を得て上下之に応ず、小畜と曰う。健にして巽い、剛中にして志行わる、乃ち亨る。「密雲あれども雨ふらず」とは、尚お往けばなり。「我が西郊よりす」とは、施し未だ行われざればなり。
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