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易経 / 彖伝

“益”,損上益下,民説無疆。自上下下,其道大光。“利有攸往”,中正有慶。“利涉大川”,木道乃行。益動而巽,日進無疆。天施地生,其益無方。凡益之道,與時偕行。

新字:“益”,損上益下,民説無疆。自上下下,其道大光。“利有攸往”,中正有慶。“利渉大川”,木道乃行。益動而巽,日進無疆。天施地生,其益無方。凡益之道,与時偕行。

書き下し

「益(えき)」は、上を損して下を益す、民の説(よろこ)び疆(かぎ)り无し。上より下に下る、其の道大いに光(あきら)かなり。「往く攸(ところ)有るに利ろし」とは、中正にして慶(よろこ)び有ればなり。「大川を渉るに利ろし」とは、木道乃ち行はるるなり。益は動きて巽(したが)ひ、日に進みて疆り无し。天施し地生じ、其の益するや方(ほう)无し。凡そ益の道は、時と偕(とも)に行ふ。

現代語訳

益とは、上を減らして下に加えることであり、民の喜びは限りがない。上に立つ者がみずから身を低くして下の者にへりくだる、その道は大いに輝かしい。「進み行くところがあるのがよい」とは、中正であってこそ喜びごとがあるからである。「大河を渡るのがよい」とは、木で造った舟の道がここに行われるからである。益は動いてしかもへりくだり、日々進んで限りがない。天が恵みを施し地が万物を生み、その益するところには決まった方角がない。すべて益の道は、時とともに行われるのである。

解説

益の彖辞は、損とはちょうど逆に、上を損して下を益すと説きます。上に立つ者が自分の取り分を削って下に回すからこそ、人々の喜びは限りなく、その道は大いに輝かしいというのです。さらに、中正であってこそ喜びごとがあり、益は「動きて巽ふ」、つまり動きながらもへりくだる姿勢を伴うので、日々進んで尽きることがないと述べます。天が施し地が生み育てるように、その恵みは特定の方角に偏りません。経営や仕事に置き換えれば、利益や権限、情報を上が抱え込まず、現場や顧客、部下へ回していくことが、最も確かな増やし方だということになります。ただし何をどれだけ益するかは、時に応じて決まります。与える中身と量を時宜に合わせて調える。それが益の道を長く保つ条件です。

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