易経 / 彖伝
大畜,剛健篤實,輝光日新。其德剛上而尚賢,能止健,大正也。“不家食吉”,養賢也。“利涉大川”,應乎天也。
新字:大畜,剛健篤実,輝光日新。其徳剛上而尚賢,能止健,大正也。“不家食吉”,養賢也。“利渉大川”,応乎天也。
書き下し
大畜は、剛健篤実にして、輝光日に新たなり。其の徳は剛上りて賢を尚び、能く健を止む、大正なり。「家食せざれば吉」とは、賢を養えばなり。「大川を渉るに利ろし」とは、天に応ずればなり。
現代語訳
大畜とは、剛健で誠実であり、その輝きが日々に新しい。その徳は、剛が上にあって賢者を尊び、強健なものをよく押しとどめる。まことに大いなる正しさである。「家で食わずにいれば吉」とは、賢者を養うからである。「大河を渡るのがよい」とは、天のはたらきに応じているからである。
解説
大畜は「大いに蓄える」ことをあらわす卦です。彖伝は「剛健篤実にして、輝光日に新たなり」と言います。強く健やかで、しかも誠実。その内側の充実が、日ごとに新しい輝きとなって外にあらわれる。蓄えとは、金や物のことばかりではなく、徳と力の蓄積なのだ、という読みです。興味深いのが「能く健を止む」の一句でしょう。強いものを、あえて押しとどめる。すぐに使わずに溜める。この抑制があるからこそ、大きな蓄えになる。そして「賢を尚び」「賢を養う」——優れた人を尊び、養うことが蓄えの中身に数えられています。「家食せざれば吉」とは、自分の家で食うのではなく、公の場で用いられるということ。蓄えた力は、内に囲い込まず世に出してこそ意味がある。ため込むだけでも、使い急ぐだけでも大畜にはなりません。人を育て、力を溜め、時が来れば大川を渡る。その循環です。