易経 / 彖伝
大觀在上,順而巽,中正以觀天下,觀。“盥而不薦,有孚顒若”,下觀而化也。觀天之神道,而四時不忒,聖人以神道設教,而天下服矣。
新字:大観在上,順而巽,中正以観天下,観。“盥而不薦,有孚顒若”,下観而化也。観天之神道,而四時不忒,聖人以神道設教,而天下服矣。
書き下し
大観上に在り、順にして巽い、中正にして以て天下に観す、観なり。「盥いて薦めず、孚有りて顒若たり」とは、下観て化すればなり。天の神道を観るに、四時忒わず。聖人神道を以て教えを設けて、天下服す。
現代語訳
大いなる見本が上にある。従順でへりくだり、中正であって天下に示す。それが観である。「手を清めて、まだ供え物を捧げていない。誠実さがあって、おごそかである」とは、下の者がそれを見て感化されるからである。天の神妙なはたらきを観れば、四季は少しも狂わない。聖人はその神妙な道理によって教えを立て、天下の人々は心から従うのである。
解説
観は「観る」「観せる」ことをあらわす卦です。彖伝は「大観上に在り」——大いなる見本が上にある、と言います。上に立つ者は、語る前にまず見られている。その姿が「中正にして以て天下に観す」、偏りなく正しければ、それだけで人は動くというのです。印象深いのが「盥いて薦めず」の場面でしょう。祭祀で手を清め、まだ供え物を捧げてはいない、その最も張りつめた瞬間。派手な儀式の本番ではなく、心が澄んだこの静かな時にこそ、見る者は打たれる。「下観て化すればなり」——下の者はそれを見て自ずと変わる。号令ではなく、姿が人を変えるのです。そして四季が狂わない天のはたらきを引き、聖人の教えもまたそのように静かに人を服させると説きます。組織の空気は、上に立つ人の見えないところでの振る舞いから作られていきます。
この章句が説くこと
観示す盥いて薦めず率先垂範
関連する章句
-
十七条憲法 第八条群卿百寮(ぐんけいひゃくりょう)、早(つと)に朝(まい)りて晏(おそ)く退(しりぞ)け。公事(くじ)盬(しお)きこと靡(な)く、終日(ひねもす)にも尽(つ)くし難(がた)し。是(ここ)を以(もっ)て遅(おそ)く朝(まい)れば急(きゅう)に逮(およ)ばず、早く退(しりぞ)けば必(かなら)ずその功(こう)を尽(つ)くさず。
-
説苑・反質齊の桓公管仲に謂いて曰く、「吾が國甚だ小にして、財用甚だ少なきに、群臣の衣服輿駕甚だ汰なり、吾之を禁ぜんと欲す、可なるか?」管仲曰く、「臣之を聞く、君之を嘗むれば、臣之を食らう。君之を好めば、臣之を服す。今君の食らうや必ず桂の漿、練紫の衣を衣、狐白の裘なり。此れ群臣の奢汰する所なり。詩に云う、『躬らせず親らせざれば、庶民信ぜず。』君之を禁ぜんと欲せば、胡ぞ自ら親らせざる?」と。桓公曰く、「善し。」と。是に於て練帛の衣、大白の冠に更制し、朝すること一年にして齊國儉なり。
-
説苑・臣術晏子朝す、敝車に乗り駑馬に駕す。景公之を見て曰く、「嘻、夫子の禄寡なきか、何ぞ乗ること任えざるの甚だしきや」と。晏子対えて曰く、「君の賜に頼りて、以て三族及び国の交遊を寿からしめ皆生を得しむ。臣暖衣飽食を得、敝車駑馬、以て其の身を奉ずるは、臣に於いて足れり」と。晏子出づ。公梁丘拠をして輅車乗馬を遺らしむ。三たび返して受けず。公悦ばず、趣ぎて晏子を召す。晏子至る。公曰く、「夫子受けざれば、寡人も亦た乗らじ」と。晏子対えて曰く、「君臣をして百官の吏に臨ましめ、其の衣服飲食の養を節して、以て斉国の人に先んぜしむ。然れども猶お其の侈靡にして其の行いを顧みざらんことを恐る。今輅車乗馬、君之に上に乗り、臣も亦た之に下に乗らば、民の義無くして、其の衣食を侈にして其の行いを顧みざる者は、臣以て之を禁ずる無し」と。遂に譲りて受けず。
-
尚書・君牙爾が身克く正しければ、敢えて正しからざる罔し。
-
六韜・励軍武王 太公に問ひて曰く、「吾 三軍の衆をして、城を攻むれば先登を争ひ、野戦すれば先赴を争ひ、金の声を聞きて怒り、鼓の声を聞きて喜ばしめんと欲す。之を為すこと奈何」と。太公曰く、「将に三あり」と。武王曰く、「敢へて其の目を問はん」と。太公曰く、「将 冬に裘を服ず、夏に扇を操らず、雨に蓋を張らず、名づけて礼将と曰ふ。将 身づから礼を服せざれば、以て士卒の寒暑を知る無し。隘塞を出で、泥塗を犯すには、将 必ず先づ下りて歩む、名づけて力将と曰ふ。将 身づから力を服せざれば、以て士卒の労苦を知る無し。軍 皆な次を定めて、将 乃ち舎に就く。炊ぐ者 皆な熟して、将 乃ち食に就く。軍 火を挙げざれば、将も亦た挙げず、名づけて止欲将と曰ふ。将 身づから止欲を服せざれば、以て士卒の飢飽を知る無し。将 士卒と寒暑・労苦・飢飽を共にす、故に三軍の衆、鼓の声を聞けば則ち喜び、金の声を聞けば則ち怒る。高城深池、矢石 繁く下るも、士は先登を争ふ。白刃 始めて合ふも、士は先赴を争ふ。士は死を好みて傷つくを楽しむに非ざるなり。其の将の寒暑・飢飽を知ること審らかにして、労苦を見ること明らかなるが為なり」と。
-
孟子・盡心章句下孟子曰く、「身、道を行わざれば、妻子にも行われず。人を使うに道を以 てせざれば、妻子にも行わるること能わず。」
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る