易経 / 彖伝
大哉乾元,萬物資始,乃統天。雲行雨施,品物流形。大明終始,六位時成。時乘六龍以御天。乾道變化,各正性命。保合太和,乃利貞。
新字:大哉乾元,万物資始,乃統天。雲行雨施,品物流形。大明終始,六位時成。時乗六竜以御天。乾道変化,各正性命。保合太和,乃利貞。
書き下し
大いなるかな乾元、万物資りて始まる、乃ち天を統ぶ。雲行き雨施して、品物形を流く。大いに終始を明らかにして、六位時に成る。時に六龍に乗りて以て天を御す。乾道変化して、各々性命を正しくす。太和を保合して、乃ち貞に利ろし。
現代語訳
偉大なものだ、乾の元の力は。万物はこれによって始まり、この力が天のはたらきを統べている。雲がめぐり雨が降りそそぎ、さまざまなものが形をなして流れ出る。始めから終わりまでの筋道が明らかとなり、六つの爻の位が時に応じて成り立つ。その時々に六頭の竜に乗って天を乗りこなす。乾の道は変化しながら、あらゆるものにそれぞれの性質と天命を正しく与える。大いなる調和を保ち合わせてこそ、正しさを守ることが実を結ぶのである。
解説
乾は天のはたらきをあらわす卦で、彖伝はその根源の力を「大いなるかな乾元」と讃えます。万物はここから始まり、雲がめぐり雨が降ることで、さまざまなものが形を得ていく。創造とは一度きりの出来事ではなく、めぐり続ける動きなのだという見方です。要は「時に六龍に乗りて以て天を御す」の一句でしょう。六つの爻を六頭の竜になぞらえていますが、竜は好き勝手に飛ぶのではなく、時に乗って進退します。潜むべき時は潜み、現れるべき時に現れる。そして結びは「太和を保合す」。ばらばらの力を大きな調和のうちに収めて初めて、正しさを守る意味が出てくると言います。仕事でも経営でも、勢いのある人ほど「いつ動くか」で結果が変わります。力を持つことよりも、時を読み、周囲との調和を保ちながらその力を使うこと。乾の教えは、強さの使い方そのものを問うています。