伝習録 / 黄以方録
一友自嘆:「私意萌時,分明自心知得,只是不能使他即去。」先生曰:「你萌時這一知處,便是你的命根。當下即去消磨,便是立命工夫。」
新字:一友自嘆:「私意萌時,分明自心知得,只是不能使他即去。」先生曰:「你萌時這一知処,便是你的命根。当下即去消磨,便是立命工夫。」
書き下し
一友、自ら嘆ず、「私意の萌す時、分明に自ら心に知り得たり。只だ是れ他をして即ち去らしむる能わず」と。先生曰く、「你の萌す時の這一知の処、便ち是れ你の命根なり。当下に即ち去きて消磨せば、便ち是れ命を立つるの工夫なり」と。
現代語訳
ある友人が嘆いた。「私心が萌す時、はっきりと自分の心で分かります。ただ、すぐに去らせることができません」。先生は「君が萌した時の、その一つの気づきの所が、君の命の根だ。その場ですぐに削り取れば、それが命を立てる工夫だ」と言われた。
解説
「気づいているのに、消せない」。その嘆きを、先生は逆に読みます。気づけていることこそが、命の根だ、と。できないことより、できていることのほうを、指しているのです。
この章句が説くこと
你萌時這一知処便是你的命根