伝習録 / 黄以方録
先生曰:「今之論性者,紛紛異同,皆是說性,非見性也。見性者無異同之可言矣。」
新字:先生曰:「今之論性者,紛紛異同,皆是説性,非見性也。見性者無異同之可言矣。」
書き下し
先生曰く、「今の性を論ずる者、紛紛として異同あるは、皆な是れ性を説くにして、性を見るに非ざるなり。性を見る者は異同の言うべき無し」と。
現代語訳
先生は言われた。「今、性を論じる者が紛々と異同を争うのは、みな性を説いているのであって、性を見ているのではない。性を見た者には、異同を言うことがない」。
解説
ある事柄について、多くの人が異なる意見を主張し、議論が紛糾している時、それはまだ誰もその本質を本当に理解し、体験していない証拠かもしれません。本当に核心を捉えた人は、言葉で説明するよりも、その真実を自ら体現しているため、あえて論争する必要を感じないものです。私たちが何かについて深く考え、議論する時、表面的な言葉の応酬に終始するのではなく、その奥にある本質を見極めようとする姿勢が大切です。
この章句が説くこと
皆是説性非見性也見性者無異同之可言矣