伝習録 / 黄省曾録
先生曰:「良知是造化的精靈。這些精靈,生天生地,成鬼成帝,皆從此出,真是與物無對。人若復得他完完全全、無少虧欠,自不覺手舞足蹈;不知天地間更有何樂可代?」
新字:先生曰:「良知是造化的精霊。這些精霊,生天生地,成鬼成帝,皆従此出,真是与物無対。人若復得他完完全全、無少虧欠,自不覚手舞足蹈;不知天地間更有何楽可代?」
書き下し
先生曰く、「良知は是れ造化の精霊なり。這些の精霊、天を生じ地を生じ、鬼と成り帝と成る。皆な此より出づ。真に是れ物と対無し。人、若し他を復し得て完完全全、少しの虧欠も無くんば、自ら手の舞い足の踏むを覚えず。知らず、天地の間に更に何の楽しみか代うべき有らん」と。
現代語訳
先生は言われた。「良知は造化の精霊だ。この精霊が天を生み地を生み、鬼となり帝となる。みなここから出る。まことに対するものがない。人がもしこれを完全に取り戻し、少しの欠けもなければ、自ずと手が舞い足が踏むのを覚えない。天地の間に、これに代わる楽しみがあろうか」。
解説
良知を完全に回復すれば、人は「自ずと手が舞い足が踏む」ほどの喜びを感じると王陽明は説きます。これは、厳しい修養の先に、苦行ではなく、抑えきれないほどの純粋な喜びがあることを示唆しています。日々の生活の中で、自分の心の声に耳を傾け、良心に従って行動できたとき、私たちは内側から湧き上がるような充実感や幸福感を味わうことができます。それは、どんな外的な成功や快楽にも代えがたい、本質的な喜びなのです。
この章句が説くこと
人若復得他完完全全無少虧欠自不覚手舞足蹈
関連する章句
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伝習録・陳九川録庚辰、虔州に往きて再び先生に見ゆ。問う、「近来の功夫、稍(やや)頭脳を知るが若しと雖も、然れども個の穏当快楽の処を尋ね難し」と。先生曰く、「爾は却って心上に去きて個の天理を尋ぬ。此れ正に所謂る理障なり。此の間に個の訣竅有り」と。曰く、「請い問う、如何」と。曰く、「只だ是れ知を致すなり」と。曰く、「如何にして致さん」と。曰く、「爾の那の一点の良知は、是れ爾の自家底の準則なり。爾の意念の著く処、他は是ならば便ち是なるを知り、非ならば便ち非なるを知る。更に他を瞞(あざむ)くこと一些も得ず。爾は只だ他を欺かんことを要せず、実実落落として他に依著して做し去れ。善は便ち存し、悪は便ち去れ。他の這裏、何等か穏当快楽なる。此れ便ち是れ『格物』の真訣、『致知』の実功なり。若し這些の真機に靠著せずんば、如何ぞ去きて物を格さん。我も亦た近年、体貼し出だし来たりて此くの如く分明なり。初めは猶お只だ他に依らば恐らくは足らざる有らんと疑う。精細に看れば、些小の欠闕も無し」と。
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伝習録・黄省曾録先生曰く、「『天に先んじて天も違わず』、天は即ち良知なり。『天に後れて天の時を奉ず』、良知は即ち天なり」と。
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