伝習録 / 黄省曾録
先生語陸元靜曰:「元靜少年亦要解《五經》,志亦好博。但聖人教人,只怕人不簡易,他說的皆是簡易之規。以今人好博之心觀之,卻似聖人教人差了。」
新字:先生語陸元静曰:「元静少年亦要解《五経》,志亦好博。但聖人教人,只怕人不簡易,他説的皆是簡易之規。以今人好博之心観之,却似聖人教人差了。」
書き下し
先生、陸元静に語りて曰く、「元静は少年にして亦た『五経』を解せんことを要す。志も亦た博きを好む。但だ聖人の人に教うるは、只だ人の簡易ならざるを怕(おそ)る。他の説く所は皆な是れ簡易の規なり。今人の博きを好むの心を以て之を観れば、却って聖人の人に教うるは差えりと似たり」と。
現代語訳
先生は陸元静に言われた。「元静は若い頃から『五経』を解こうとし、志も博識を好んだ。しかし聖人が人に教えるのは、簡易でないことを恐れるだけだ。彼が説いたのはみな簡易な規範だ。今の人の博識を好む心で見れば、聖人の教え方が間違っているように見えるだろう」。
解説
現代社会は、多くの知識や情報を「博く」求める傾向にあります。しかしこの一節は、聖人の教えが「簡易」であることを恐れると説きます。つまり、複雑な知識を詰め込むことよりも、シンプルで本質的な真理を見極めることの重要性を示唆しているのです。表面的な博識を追い求める目には、簡易な教えは物足りなく、あるいは間違っているように映るかもしれません。しかし、本当に大切なのは、複雑なものをシンプルに捉え、核心を掴む力だということを教えてくれます。
この章句が説くこと
聖人教人只怕人不簡易