伝習録 / 訓蒙大意
若近世之訓蒙穉者,日惟督以句讀課仿,責其檢束而不知導之以禮,求其聰明而不知養之以善,鞭撻繩縛,若待拘囚。彼視學舍如囹獄而不肯入,視師長如寇仇而不欲見,窺避掩覆以遂其嬉遊,設詐飾詭以肆其頑鄙,偷薄庸劣,日趨下流。是蓋驅之於惡而求其為善也,何可得乎?
新字:若近世之訓蒙穉者,日惟督以句読課仿,責其検束而不知導之以礼,求其聰明而不知養之以善,鞭撻縄縛,若待拘囚。彼視学舎如囹獄而不肯入,視師長如寇仇而不欲見,窺避掩覆以遂其嬉遊,設詐飾詭以肆其頑鄙,偸薄庸劣,日趨下流。是蓋駆之於悪而求其為善也,何可得乎?
書き下し
若し近世の蒙穉を訓ずる者は、日に惟だ督するに句読課仿を以てし、其の検束を責めて之を導くに礼を以てするを知らず、其の聡明を求めて之を養うに善を以てするを知らず、鞭撻縄縛し、拘囚を待つが若し。彼、学舎を視ること囹獄の如くにして入るを肯んぜず、師長を視ること寇仇の如くにして見るを欲せず、窺避掩覆して以て其の嬉遊を遂げ、詐を設け詭を飾りて以て其の頑鄙を肆にす。偷薄庸劣、日に下流に趨る。是れ蓋し之を悪に駆りて其の善を為すを求むるなり。何ぞ得べけんや。
現代語訳
近ごろ子どもを教える者は、日々ただ句読と書き取りで責め立て、束縛を求めて礼で導くことを知らず、聡明さを求めて善で養うことを知らず、鞭打ち縛り、囚人を扱うようだ。子どもは学校を牢獄のように見て入ろうとせず、教師を仇のように見て会いたがらず、隙を窺い覆い隠して遊びを遂げ、偽り飾って頑なさをほしいままにする。薄っぺらく劣り、日々に堕ちていく。これは悪に追い立てながら、善を求めているのだ。どうしてできようか。
解説
厳しすぎる管理や一方的な押し付けは、かえって人の心を閉ざし、反発を生むことがあります。この一節は、子どもを鞭で縛りつけるような教育が、結局は隠れて遊び、偽ることを覚えさせ、人間性を堕落させると警告します。善を求めているはずなのに、手段が目的を裏切ってしまうのです。人を育てるには、信頼と理解に基づいた導きが必要です。相手の自発性を尊重し、内側から善を引き出すような関わり方を心がけましょう。
この章句が説くこと
是蓋駆之於悪而求其為善也何可得乎教育
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