伝習録 / 答聶文蔚
嗟乎!今誠欲求豪傑同志之士於天下,非如吾文蔚者,而誰望之乎?如吾文蔚之才與志,誠足以援天下之溺者,今又既知其具之在我,而無假於外求矣,循是而充,若決河注海,孰得而禦哉!文蔚所謂「一人信之不為少」,其又能遜以委之何人乎?
新字:嗟乎!今誠欲求豪傑同志之士於天下,非如吾文蔚者,而誰望之乎?如吾文蔚之才与志,誠足以援天下之溺者,今又既知其具之在我,而無仮於外求矣,循是而充,若決河注海,孰得而禦哉!文蔚所謂「一人信之不為少」,其又能遜以委之何人乎?
書き下し
嗟乎、今、誠に豪傑同志の士を天下に求めんと欲せば、吾が文蔚の如き者に非ずして、誰にか之を望まんや。吾が文蔚の才と志との如きは、誠に以て天下の溺るる者を援くに足る。今又た既に其の具の我に在りて、外に求むるを仮る無きを知れり。是に循いて充たさば、河を決して海に注ぐが若し。孰か得て之を禦がんや。文蔚の所謂る「一人、之を信ずるも少なしと為さず」とは、其れ又た能く遜りて之を何人にか委ねんや。
現代語訳
ああ、今、豪傑で志を同じくする士を天下に求めるなら、あなたのような方でなくて、誰に望もう。あなたの才と志なら、天下の溺れる者を救うに足りる。今また、その道具が自分にあり、外に求める必要がないことを知られた。これに従って満たしていけば、河が決壊して海に注ぐようだ。誰が防げよう。あなたの言う「一人が信じても少なくない」とは、その一人を誰に譲るというのか。
解説
「一人が信じても少なくない」という言葉は、個人の信念の強さを表しますが、同時に、その信念を誰かに託すことの難しさも示唆しています。本当に大切なこと、自分が信じる道を、他人に安易に譲ることはできません。この一節は、自分の言葉や行動に責任を持ち、自らが先頭に立って実践することの重要性を教えてくれます。他人の言葉を借りるのではなく、自分自身の言葉で語り、行動することで、周囲を巻き込む真のリーダーシップが生まれるのです。
この章句が説くこと
文蔚所謂一人信之不為少其又能遜以委之何人乎信頼責任当事者意識
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