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伝習録 / 答顧東橋書

來書云:「近時學者務外遺內,博而寡要。故先生特倡『誠意』一義,針砭膏育,誠大惠也。」吾子洞見時弊如此矣。亦將何以救之乎?然則鄙人之心,吾子固已一句道盡,復何言哉?復何言哉?若「誠意」之說,自是聖門教人用功第一義。但近世學者乃作第二義看,故稍與提掇緊要出來,非鄙人所能特倡也。

新字:来書云:「近時學者務外遺內,博而寡要。故先生特倡『誠意』一義,針砭膏育,誠大恵也。」吾子洞見時弊如此矣。亦将何以救之乎?然則鄙人之心,吾子固已一句道尽,復何言哉?復何言哉?若「誠意」之説,自是聖門教人用功第一義。但近世學者乃作第二義看,故稍与提掇緊要出来,非鄙人所能特倡也。

書き下し

来書に云う、「近時の学者は外を務めて内を遺れ、博くして要寡し。故に先生は特に『誠意』の一義を倡(とな)え、膏肓を針砭す。誠に大恵なり」と。吾子の時弊を洞見すること此くの如し。亦た将た何を以て之を救わんとするか。然らば則ち鄙人の心は、吾子、固より已に一句にて道い尽くせり。復た何をか言わんや。復た何をか言わんや。『誠意』の説の若きは、自ら是れ聖門の人に教えて功を用うるの第一義なり。但だ近世の学者は乃ち第二義と作して看る。故に稍(やや)与に緊要を提掇し出だし来たる。鄙人の能く特に倡うる所に非ざるなり。

現代語訳

お手紙にこうあった。「近ごろの学者は外を務めて内を忘れ、広いが要点が少ない。だから先生は特に『誠意』の一義を唱え、深い病に針を打たれた。まことに大きな恵みです」。あなたは時代の弊害をこれほど見抜いておられる。ではどう救うおつもりか。であれば私の思いは、あなたがすでに一句で言い尽くしている。他に何を言おう。何を言おう。『誠意』の説は、もとより聖人の門が人に教える第一の要義だ。ただ近世の学者が第二義として見るので、いくらか要点を引き出したまでだ。私が特に唱えたのではない。

解説

中巻の書簡群の冒頭です。「私が特に唱えたのではない」。新説を立てたのではなく、埋もれていたものを引き出しただけだと言います。第一義が第二義として扱われている。順位が入れ替わっているだけなのです。

この章句が説くこと

誠意之説自是聖門教人用功第一義非鄙人所能特倡也

この一句を、あなたの毎日に。

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