伝習録 / 陸澄録
「心外無物。如吾心發一念孝親,即孝親便是物。」
新字:「心外無物。如吾心発一念孝親,即孝親便是物。」
書き下し
「心外に物無し。吾が心、一念の孝親を発するが如きは、即ち孝親は便ち是れ物なり」。
現代語訳
「心の外に物はない。私の心が親に孝行しようという一念を発すれば、その孝行が、すなわち物である」。
解説
私たちは、外の世界に「物」が存在すると考えがちですが、この教えは、私たちの心が何かを意識し、意図した瞬間に、それが「物」として立ち現れると説きます。例えば、親に孝行しようという気持ちが心に芽生えた時、その「孝行」という行為が、まさに「物」となるのです。つまり、世界は私たちの意識や意図によって形作られ、心の外に独立した「物」は存在しないという見方は、日々の行動や選択の源が自分自身にあることを教えてくれます。
この章句が説くこと
心外無物如吾心発一念孝親即孝親便是物
関連する章句
-
伝習録・陸澄録問う、「身の主は心と為り、心の霊明は是れ知、知の発動は是れ意、意の著く所は物と為る。是れ此くの如きや否や」と。先生曰く、「亦た是なり」と。
-
伝習録・陸澄録「虚霊にして眛(くら)まず、衆理具わりて万事出づ。心外に理無く、心外に事無し」。
-
伝習録・黄省曾録先生、南鎮に遊ぶ。一友、巌中の花樹を指して問いて曰く、「天下に心外の物無しとせば、此の花樹の如きは深山中に在りて自ら開き自ら落つ。我が心に於て亦た何の相い関するあらん」と。先生曰く、「你、未だ此の花を看ざる時、此の花は汝の心と同じく寂に帰す。你、来たりて此の花を看る時、則ち此の花の顔色は一時に明白に起こり来たる。便ち此の花は你の心の外に在らざるを知る」と。
-
伝習録・黄省曾録又た曰く、「目に体無し。万物の色を以て体と為す。耳に体無し。万物の声を以て体と為す。鼻に体無し。万物の臭を以て体と為す。口に体無し。万物の味を以て体と為す。心に体無し。天地万物の感応の是非を以て体と為す」と。
-
伝習録・陸澄録「定なる者は、心の本体、天理なり。動静は、遇う所の時なり」。
-
伝習録・黄以方録「心は是れ一塊の血肉にあらず。凡そ知覚する処、便ち是れ心なり。耳目の視聴を知り、手足の痛痒を知るが如し。此の知覚、便ち是れ心なり」と。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る