伝習録 / 陸澄録
「只存得此心常見在,便是學。過去未來事,思之何益?徒放心耳。」
新字:「只存得此心常見在,便是学。過去未来事,思之何益?徒放心耳。」
書き下し
「只だ此の心を存し得て常に見在せば、便ち是れ学なり。過去未来の事は、之を思いて何の益かあらん。徒らに心を放つのみ」。
現代語訳
「ただこの心を保って常に今ここに在らせる。それが学である。過ぎたことや来ないことを思って、何の益があろう。ただ心を散らすだけだ」。
解説
過去の出来事を悔やんだり、まだ来ない未来をあれこれ心配したりすることは、今の自分の心をここから引き離してしまいます。過ぎたことや、まだ起こっていないことを考えても、何の役にも立たず、ただ心が散漫になるだけです。本当に大切なのは、今この瞬間に意識を集中し、心を落ち着けて保つこと。それが、日々の学びや成長の核心であり、充実した時間を過ごすための土台となるでしょう。
この章句が説くこと
只存得此心常見在便是学過去未来事思之何益徒放心耳集中
関連する章句
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伝習録・黄以方録先生、嘗て学者に語りて曰く、「心体の上、一念の留滞を著け得ず。就ち眼に些子の塵沙を著け得ざるが如し。些子は能く幾多を得んや。眼に満つれば便ち昏天黒地なり」と。又た曰く、「這一念は但だ是れ私念のみならず、便ち好き的の念頭も亦た些子を著け得ず。眼中に些の金玉の屑を放つが如きは、眼も亦た開き得ず」と。
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伝習録・陸澄録問う、「静なる時は亦た意思の好きを覚ゆ。才(わず)かに事に遇えば便ち同じからず。如何」と。先生曰く、「是れ徒らに静を養うを知りて、克己の工夫を用いざるなり。此くの如くんば、事に臨みて便ち傾倒せんことを要す。人は須らく事上に在りて磨(みが)くべし。方に立ち得て住し、方に能く静にも亦た定まり、動にも亦た定まる」と。
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言志四録・南洲手抄心は現在せんことを要す。事未だ来らずば、邀ふ可らず。事已に往かば、追ふ可らず。纔かに追ひ纔かに邀へば、便ち是れ放心なり。
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伝習録・黄省曾録「琴・瑟・簡編は、学者に無かるべからず。蓋し業有りて以て之に居らば、心は就ち放たれず」と。
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伝習録・陸澄録問う、「至善は即ち吾が性なり、吾が性は吾が心に具わる、吾が心は乃ち至善の止まる所の地なりと知らば、則ち向時の紛然として外に求むるを為さずして、志定まらん。定まれば則ち擾擾たらずして静なり。静にして妄動せざれば則ち安し。安ければ則ち一心一意、只だ此の処に在り、千思万想して、務めて必ず此の至善を得んことを求む。是れ能く慮りて得るなり。此くの如く説くは是なりや否や」と。先生曰く、「大略、亦た是なり」と。
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