中庸
《詩》曰:「不顯惟德!百辟其刑之。」是故君子篤恭而天下平。
新字:《詩》曰:「不顕惟徳!百辟其刑之。」是故君子篤恭而天下平。
書き下し
詩に曰く、『顕(あき)らかならずや惟(こ)れ徳、百辟(ひゃくへき)其れ之に刑(のっと)る』と。是の故に君子は篤恭(とっきょう)にして天下平らかなり。
現代語訳
『詩経』に「なんと輝かしいことか、この徳は。諸侯たちはみな、これを手本とする」とある。だから君子は、ただ篤く慎み深くあるだけで、天下は平らかに治まるのである。
解説
「篤恭にして天下平らかなり」という、たった一句に凝縮された統治論です。声高に命令するのでもなく、力で押さえつけるのでもない。ただ篤く、慎み深くあるだけで天下が治まる。理想論に聞こえるかもしれませんが、私たちも経験的に知っているはずです。信頼している人が静かに誠実に働いている姿を見ると、周囲は自然と背筋が伸びます。言われたからではなく、そうしたいと思うから動く。それが最も強く、最も持続する影響力です。逆に、大声で言い続けなければ動かない場では、その人がいなくなった途端にすべてが止まります。姿で伝わるものだけが、後に残るのです。