中庸
子曰:「射有似乎君子,失諸正鵠,反求諸其身。君子之道,辟如行遠必自邇,辟如登高必自卑。《詩》曰:『妻子好合,如鼓瑟琴;兄弟既翕,和樂且耽。宜爾室家,樂爾妻帑。』」子曰:「父母其順矣乎!」
新字:子曰:「射有似乎君子,失諸正鵠,反求諸其身。君子之道,辟如行遠必自邇,辟如登高必自卑。《詩》曰:『妻子好合,如鼓瑟琴;兄弟既翕,和楽且耽。宜爾室家,楽爾妻帑。』」子曰:「父母其順矣乎!」
書き下し
子曰く、「射は君子に似たる有り。諸(これ)を正鵠(せいこく)に失すれば、反(かえ)って諸を其の身に求む。君子の道は、辟(たと)えば遠きに行くに必ず邇(ちか)きよりするが如く、辟えば高きに登るに必ず卑(ひく)きよりするが如し。詩に曰く、『妻子好(よ)く合すること、瑟琴(しつきん)を鼓(こ)するが如し。兄弟既に翕(あつ)まり、和楽(わらく)して且つ耽(たの)しむ。爾(なんじ)の室家(しつか)を宜しくし、爾の妻帑(さいど)を楽しましむ』と」。子曰く、「父母は其れ順(やす)らかならんかな」と。
現代語訳
孔子は言われた。「弓を射ることは、君子のあり方によく似ている。的の中心を外したなら、その原因を弓や的のせいにせず、かえって自分自身の中に求めるのだ。君子の道は、たとえば遠くへ行くのに必ず近いところから歩き出すようなものであり、高い山に登るのに必ず低いところから登り始めるようなものである。『詩経』にこうある。『妻子と睦まじく調和するさまは、琴と瑟を合奏するようだ。兄弟が集い、和やかに楽しんでいる。おまえの家庭をうまく整え、妻子を楽しませよ』と」。そして孔子は言われた。「そうなれば、父母の心もさぞ安らかであろうな」と。
解説
有名な「正鵠を失す」の出典であり、責任の所在を自分に置く姿勢を説いた一段です。的を外したとき、風のせいにも弓のせいにもしない。まず自分に原因を求める。この一点で人の伸び方は決定的に変わります。続く「遠くへ行くには近くから、高く登るには低くから」は、順序を飛ばすなという戒めです。壮大な目標ほど、足元の一歩から始めるしかありません。そして引用される詩が、意外にも家庭の風景であることに注目してください。天下を語る前に、まず家庭が和むこと。その姿を見て父母が安らぐこと。遠大な理想の出発点は、驚くほど身近なところにあるのです。
この章句が説くこと
反求諸己正鵠を失す行遠自邇足元から始める自己責任君子
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