中庸
子曰:「天下國家可均也,爵祿可辭也,白刃可蹈也,中庸不可能也。」
新字:子曰:「天下国家可均也,爵祿可辞也,白刃可蹈也,中庸不可能也。」
書き下し
子曰く、「天下国家も均(ひと)しくすべきなり。爵禄(しゃくろく)も辞すべきなり。白刃(はくじん)も蹈(ふ)むべきなり。中庸は能くすべからざるなり」と。
現代語訳
孔子は言われた。「天下国家を平らかに治めることも、やろうと思えばできる。地位や俸禄をきっぱりと辞退することも、やろうと思えばできる。抜き身の刃の上を踏んで進むことさえ、やろうと思えばできる。しかし中庸だけは、そう簡単には実践できないのだ」と。
解説
中庸の難しさを、これ以上ないほど鮮烈に語った一段です。国を治める、名誉や富を捨てる、命を懸けるといった、誰もが「すごい」と讃える偉業を三つ並べた上で、それらより中庸のほうが難しいと断じます。なぜでしょうか。前の三つはいずれも、一度の決断と一気の勇気でやり遂げられるからです。一方の中庸は、毎日、あらゆる場面で、ちょうどよさを見極め続けなければなりません。劇的な自己犠牲より、地味な日々の適切さのほうが難しい。これは経営でも同じで、大胆な決断ができる人はいても、日々の判断を淡々と正確に積み重ねられる人は稀です。派手さのない持続こそが、最も高度な技なのです。