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呂氏春秋 / 上農③

上田,夫食九人。下田,夫食五人。可以益,不可以損。一人治之,十人食之,六畜皆在其中矣。此大任地之道也。

書き下し

上田の夫は九人を食い、下田の夫は五人を食う。以て益す可きも、以て損う可からず。一人之を治むれば、十人之を食う。六畜皆其の中に在り。此れ大いに地に任ずるの道なり。

現代語訳

上等の田を耕す一人前の農夫は九人を養い、劣等の田を耕す農夫は五人を養う。この数は増やすことはできても減らしてはならない(最低これだけは養えるように地力を尽くせ、の意)。一人が耕せば十人が食べていける。しかも牛馬など六種の家畜の養いもその中に含まれる。これこそ土地の力を最大限に活かす(大いに地に任ずる)道である。

解説

ここでは、田の良し悪しに応じて一人の農夫が養える人数を具体的に挙げ、耕作の効率と地力の活用を論じます。上田なら九人、下田でも五人、さらに家畜の養いまで含めて一人が十人を支えるとし、この生産力は下限であって、地力を尽くせばこれ以上を目指すべきだと説きます。これは農本思想における大いに地に任ずる道、すなわち土地の潜在力を余さず引き出す耕作の要諦を示したものです。限られた土地からどれだけの生産を得るかという問題意識は、食料や資源の効率的活用が課題となる現代の農業や経済にも通じる、普遍的な視点だといえます。

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