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呂氏春秋 / 博志②

冬與夏不能兩刑,草與稼不能兩成,新穀熟而陳穀虧,凡有角者無上齒,果實繁者木必庳,用智褊者無遂功,天之數也。故天子不處全,不處極,不處盈。全則必缺,極則必反,盈則必虧。先王知物之不可兩大,故擇務,當而處之。

新字:冬与夏不能両刑,草与稼不能両成,新穀熟而陳穀虧,凡有角者無上齒,果実繁者木必庳,用智褊者無遂功,天之数也。故天子不処全,不処極,不処盈。全則必欠,極則必反,盈則必虧。先王知物之不可両大,故択務,当而処之。

書き下し

冬と夏とは兩つながら刑ること能わず、草と稼とは兩つながら成ること能わず、新穀熟して陳穀虧き、凡そ角有る者には上齒無く、果實繁き者は木必ず庳く、智を用うること褊なる者の功を遂ぐる無きは、天の數なり。故に天子は全きに處らず、極まるに處らず、盈つるに處らず。全ければ則ち必ず缺け、極まれば則ち必ず反り、盈つれば則ち必ず虧く。先王は物の兩つながら大なる可からざるを知る。故に務の當たれるを擇びて之に處す。

現代語訳

冬と夏は同時には成り立たず、雑草と作物は同時には茂らず、新しい穀物が実れば古い穀物は減り、およそ角のある動物には上の歯がなく、実の多くなる木は必ず低く、知恵をあまねく分散して使う者に成し遂げる功がないのは、天の道理である。だから天子は完全なところに身を置かず、極まったところに身を置かず、満ちたところに身を置かない。完全であれば必ず欠け、極まれば必ず反転し、満ちれば必ず虧(か)けるからだ。先王は物事が二つながら大きくはなれないことを知っていた。だから最も適切な務めを選んでそこに専念したのである。

解説

この段は、冬夏が同時に成り立たず、角のある獣に上歯がなく、実の多い木が低いように、自然界では何かが立てば何かが欠ける、という「両立しない」道理を並べます。だから天子は完全・極点・充満に身を置かない。満ちれば必ず欠けるからです。先王はこの理を知り、最も適切な一事を選んで専念したと説きます。背景には、盈満を戒め専一を尊ぶ思想があります。現代でも、あれもこれもと欲張れば力は分散し、頂点や満杯は下降の始まりです。すべてを得ようとせず、最重要の一点を見極めて集中し、余力を残す姿勢こそが、持続的な成果を生むと教えてくれます。

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