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呂氏春秋 / 論威⑥

夫兵有大要,知謀物之不謀之不禁也則得之矣,專諸是也,獨手舉劍至而已矣,吳王壹成。又況乎義兵,多者數萬,少者數千,密其躅路,開敵之塗,則士豈特與專諸議哉?

新字:夫兵有大要,知謀物之不謀之不禁也則得之矣,専諸是也,独手舉剣至而已矣,吳王壱成。又況乎義兵,多者数万,少者数千,密其躅路,開敵之塗,則士豈特与専諸議哉?

書き下し

夫れ兵に大要有り、物の謀らざると禁ぜざるとを謀るを知れば、則ち之を得、專諸是れなり。獨手、劍を舉げて至れるのみ。吳王壹成す。又況んや義兵、多き者は數萬、少き者は數千なるをや。其の躅路を密にし、敵の塗に開けば、則ち士は豈に特だ專諸とのみ議せんや。

現代語訳

そもそも兵には大きな要諦がある。相手が予想せず防げないことを謀ると知れば、それを得られる。専諸がその例である。ただ一人の手で剣を掲げて近づいただけで、呉王は一挙に事を成した。まして義兵は、多ければ数万、少なくても数千である。その進む道を兵で埋め尽くし、敵の逃げ道を開いてやれば、事は専諸一人の謀ごとどころではない(はるかに大きな成果が得られる)。

解説

この段は、敵が予期も防御もできぬ機をつくことが兵の要諦であり、専諸の刺客としての行いを例に挙げます。専諸はわずか一人で剣を掲げて呉王僚を刺し、闔閭の即位という大事を一挙に成し遂げました。個人でこれほどの成果なら、数千数万の義兵が同じ理で動けば、成果は比較にならないほど大きいとするのです。相手の意表をつき、防御の隙を突くというこの発想は、競争における奇襲や、想定外の一手で局面を丸ごと変える戦略の考え方に通じます。

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