呂氏春秋 / 仲秋②
是月也,養衰老,授几杖,行麋粥飲食。乃命司服具飭衣裳,文繡有常,制有小大,度有短長,衣服有量,必循其故,冠帶有常。命有司,申嚴百刑,斬殺必當,無或枉(撓)〔橈〕,枉(撓)〔橈〕不當,反受其殃。
新字:是月也,養衰老,授几杖,行麋粥飲食。乃命司服具飭衣裳,文繡有常,制有小大,度有短長,衣服有量,必循其故,冠帯有常。命有司,申厳百刑,斬殺必当,無或枉(撓)〔橈〕,枉(撓)〔橈〕不当,反受其殃。
書き下し
是の月や、衰老を養い、几杖を授け、麋粥飲食を行う。乃ち司服に命じて、衣裳を具え飭えしむ。文繡に常有り、制に小大有り、度に短長有り、衣服に量有り。必ず其の故に循う。冠帶に常あり、有司に命じて、申ねて百刑を嚴にし、斬殺必ず當り、枉橈或ること無からしむ。枉橈して當らざれば、反って其の殃を受く。
現代語訳
この月には、老衰した者をいたわり、脇息と杖を授け、粥などの飲食を給する。そこで司服に命じて衣裳を整えさせる。刺繍には一定の決まりがあり、寸法には大小・長短があり、衣服には規格があって必ず旧来のしきたりに従い、冠や帯にも定めがある。役人に命じて重ねて刑罰を厳格にし、斬殺は必ず罪に相当させ、事実を曲げた処罰がないようにする。もし曲げて罪に当たらなければ、かえってその災いを受ける。
解説
この段は、仲秋には高齢者を養い、衣服の制度を整え、刑罰を公正に運用せよと説きます。秋は金気の粛殺の季節として刑の季節とされ、処刑や裁きが天の気に合うと考えられました。ただし裁きは必ず罪に見合わせ、事実を曲げた不当な処罰である枉橈は、かえって施政者自身に災いが返ると強く戒めます。弱者へのいたわりと、恣意を排した公正なルール運用という二本柱は、現代の組織運営や、公平で透明な法の執行という理念にそのまま通じる考え方です。