呂氏春秋 / 仲夏⑥
仲夏行冬令,則雹霰傷穀,道路不通,暴兵來至。行春令,則五穀晚熟,百螣時起,其國乃饑。行秋令,則草木零落,果實早成,民殃於疫。
新字:仲夏行冬令,則雹霰傷穀,道路不通,暴兵来至。行春令,則五穀晩熟,百螣時起,其国乃饑。行秋令,則草木零落,果実早成,民殃於疫。
書き下し
仲夏に冬の令を行えば、則ち雹霰、穀を傷ない、道路通ぜず、暴兵來たり至る。春の令を行えば、則ち五穀晚く熟し、百螣時に起り、其の國乃ち饑ゆ。秋の令を行えば、則ち草木零落し、果實早く成り、民、疫に殃いせらる。
現代語訳
仲夏に冬に行うべき政令を行えば、ひょうやあられが穀物を傷つけ、道路は通れなくなり、乱暴な軍勢が攻めてくる。春の政令を行えば、五穀の実りが遅れ、いなごの類が季節外れに発生し、その国は飢える。秋の政令を行えば、草木が枯れ落ち、果実が早く熟し、民は疫病に苦しめられる。
解説
季節にそぐわない政令を出すと災いが起こる、という月令特有の警告で締めくくる段です。仲夏に冬・春・秋それぞれの令を誤って行えば、雹害や外敵、飢饉、疫病といった具体的な災厄が生じると説きます。これは、為政者の行為が天地自然の運行と感応し合うという「天人相関」の思想を背景にしています。政治を季節のリズムに合わせて営むべきだという規範を、災異という形で強く印象づけているのです。現代の目には迷信に映る面もありますが、時宜を外した施策が思わぬ弊害を招くという教訓として読めば、政策のタイミングを重んじる知恵として今も通用します。