呂氏春秋 / 季春②
是月也,天子乃薦鞠衣于先帝。命舟牧覆舟,五覆五反,乃告舟備具于天子(焉),天子焉始乘舟。薦鮪于寢廟,乃為麥祈實。
新字:是月也,天子乃薦鞠衣于先帝。命舟牧覆舟,五覆五反,乃告舟備具于天子(焉),天子焉始乗舟。薦鮪于寝廟,乃為麦祈実。
書き下し
是の月や、天子乃ち鞠衣を先帝に薦む。舟牧に命じて舟を覆せしむ。五たび覆し五たび反し、乃ち舟の備具わるを天子に告げ、天子焉に始めて舟に乘る。鮪を寢廟に薦め、乃ち麥の為に實らんことを祈る。
現代語訳
この月、天子は黄桑色の鞠衣(養蚕の吉服)を先帝に供え、養蚕がうまくいくよう祈る。舟を管理する舟牧に命じて舟を点検させ、五度ひっくり返し五度戻して安全を確かめさせ、舟の準備が整ったと天子に報告させて、天子は初めて舟に乗る。鮪(ちょうざめに似た川魚)を先祖のみたまやに供え、麦の実りを祈る。
解説
晩春に天子が行う祭祀と季節の行事を述べています。養蚕の始まりに合わせて鞠衣を先帝に供えて豊作を祈り、舟を五度も点検させてから初めて乗るという慎重な手順、そして川魚を祖廟に供えて麦の実りを祈る様子が描かれます。いずれも季節の節目に感謝と祈りを捧げ、安全を確認してから物事を始める古代の作法です。現代でも、新しい活動を始める前に入念な点検を重ね、区切りごとに節目の儀式を設けることは、事故の防止と関係者の心構えを整える上で有効です。祈りと準備を両立させる姿勢に学べます。